悪玉ストレスを善玉にしよう!
2014.03.10 / 研究ブログ
山岡 淳/一般財団法人MOA健康科学センター 顧問、文学博士
ストレスという語をこの世に広げたセリエ(seliye,H.)は、ストレスを定義付けるときに、「ひとに有害とみなされるストレッサーが加えられると特徴的な生理的な症状(汎適応症候群)が生ずる」と表現しました。そこでかれが「有害」という文字を使っているように、一般に、ストレスの素であるストレッサーは兎角「害」や「悪者」として取扱われます。
しかしその後になりセリエ自身も、ストレスにはその個人に受け入れ難い「不快なストレス」と、受け入れ易い「快適なストレス」と両者があると二分しました。確かにストレスには、悪玉なものが多いのは事実でありますが、善玉と見なされるようなストレスもあるのです。
私はストレス、とくに「善玉ストレス」についてかねがね、
① むしろ「善玉ストレス」は多く存在するし、大いに活用すべきである
② 適度のストレスは軽度の緊張を産み易いので、避けるのではなくむしろ歓迎すべきである
③ 「悪玉」を「善玉」と変容できるのは、その受け入れる側の「姿勢」次第である
という持論を持ってきました。
例えば、スポーツの練習と試合で、練習し始めには喜んで「やる気」あるのに、練習を積み重ねているうちに「もう止めたい」とか、「これ以上はできない」と弱音を吐き始めます。「そこを何とか乗り越えよう」とか、周りからの圧力で「死ぬほどの思いでやらされて」やっと試合をやり遂げられたという経験があると思います。そして勉強や仕事でも、「困難」や「頑張り」の後になって大きな喜びを感じさせられたことがあったでしょう。
善玉ストレスにすると
意欲高揚
このように、練習、勉強、仕事などの途中の「辛さ」が大きいほど「快」の感情を体験できます。さらに、辛い途中の過程にも、試合後の快を期待する「快適なストレス」も持って同時に進行することによって、「不快なストレス」を和らげることにもなります。
セリエの後、ストレスの研究者であるラザルス(Lazarusu,R.S.)たちは、生体と環境との間の相互関連性を重視するようになりました。健康科学センターでは、人間が本来備えている自然治癒力をさらに増進し強化するという自然順応型の健康法を重視しています。この自然治癒力でストレスを善玉にしていきましょう。
そのような観点から、ストレスについても自然環境と関連する具体例などについて研究をし、それらの成果を活用できるように努めています。