2016.11.29 / MOA健康科学センターからのお知らせ / 研究ブログ
10月19日から22日、デンマーク国コペンハーゲン市において、
第23回国際QOL学会年次大会が開催され、当財団から木村友昭主任研究員が参加しました。今年の大会のテーマは、「QOL研究における挑戦に取り組むための成功した戦略」で、著名なQOL研究者の業績が紹介されました。
木村主任研究員は、「喫煙者と非喫煙者における包括的な生活の質(QOL)および精神的態度の比較」と題して、ポスター発表しました。地域住民と会社の従業員を対象とした調査をもとに、喫煙とQOL、および精神性(スピリチュアリティ)との関連を男女別に分析した結果を示しました。
QOLの測定には、10項目版MOAQOL調査票(MQL-10)を使用し、また、精神性の測定には、SKY式精神性尺度を使用しました。男性では、喫煙とQOL、および精神性との関連は見られませんでしたが、女性では、喫煙者のQOLおよび精神性の得点が有意に低いことが分かりました。この発表に対し、使用した尺度の内容や、これまでの先行研究に関する質問やコメントが寄せられました。
SKY式精神性尺度を使用した別の研究は、すでに論文として発表されていますが、国際会議で発表したのは初めてでした。木村主任研究員は、このたびの研究成果も論文としてまとめる計画です。
日本応用心理学会で研究員が植物の癒し効果について自主企画ワークショップを開催
2016.09.27 / MOA健康科学センターからのお知らせ / 研究ブログ
9月1日と2日に第83回日本応用心理学会が札幌市立大学で開催され当財団から内田主任研究員、木村主任研究員、田中研究員と山岡顧問が参加しました。
内田研究員は「花および写真の鑑賞による心身の癒し~癒しの嗜好と心理生理学パラメータとの比較~」の題のポスター発表を行いました。自分で生けた花、他人が生けた花、写真鑑賞の心身に与える癒しの効果を測定解析し比較した研究でした。結果、自分で生けた花を見ることが最も心理的な癒しとなり、肩が柔らかくなったようです。また癒し評価スケールでは、花を観賞して癒された人に影響したようです。
二日目に、「植物の癒し効果を評価する:農業、医療、そして応用心理学からのアプローチ」という題で自主企画ワークショップが行われました。このワークショップの企画者として木村主任研究員が登壇し、その後話題提供者として、奥熱海療院の水野氏、農業環境研究所より中川研究員、そして内田主任研究員が発表を行いました。
水野氏は園芸療法士の観点から植物の癒し効果について発表をされました。園芸療法は自然や植物との関わりを通し、心と身体の健康や社会生活における健康の改善、回復を図るものです。奥熱海療院で、2006年より園芸療法を実施されてきたようですが、複数年にわたり継続して園芸療法を受けて、心身の機能向上を達成された患者さんを取り上げたケーススタディの発表を行いました。
中川研究員は大規模ヒマワリ畑の景観が人に与える癒し効果について話題提供されました。平野部に位置するヒマワリ畑と山裾部に位置するヒマワリ畑に訪れた観光客に対して癒しスケール調査票を用いて調査を行いました。両地点において癒しの総合得点が高く、治療的な傾向が強かったようです。男性より女性に顕著な癒しの効果が示されました。
内田主任研究員は花や自然散策の生理的・心理的な影響を、癒し評価スケール、肩の筋硬度計測、心拍変動で計測し、解析した結果を発表しました。花の鑑賞や自然散策は肩の筋硬度を低下させ、副交感神経活動を活性化させ、生理心理的に癒すことが発表されました。
植物の心身に及ぼす影響を多面的に知ることができ、説得力のある興味深いワークショップとなりました。
日本健康教育学会で研究員がQOLとスピリチュアリティに関する研究を発表
2016.06.22 / MOA健康科学センターからのお知らせ / 研究ブログ
2016.05.18 / 研究ブログ
2015.06.18 / 研究ブログ
代替相補医療誌(The Journal of Alternative and
Complementary Medicine Vol.18 No.9)に、岡田式浄化療法(エネルギー療法の一種)の研究論文が正式に掲載されました。19名の被験者に岡田式浄化療法を施術した場合と施術をしなかった場合の比較を行ったところ、脳波のα波を増加させるという結果が得られました。α波は脳波のある特定の周波数成分(8-13Hz)の波で、リラックスしているとき、α波が多く出現します。瞑想やヨガ、気功でもα波が増加することが研究されており、岡田式浄化療法でも同様な効果があることが証明されました。
詳細を知りたい方は、英文ですが、内容に関しては下記のサイトにアクセスされれば、論文をダウンロードできます。
HTMLバージョン
http://online.liebertpub.com/doi/full/10.1089/ACM.2011.0428
PDFバージョン
http://online.liebertpub.com/doi/pdf/10.1089/acm.2011.0428
また、日本語の論文が必要な方は、MOA健康科学センター研究報告集第16巻に掲載されていますので、当財団までご連絡いただければ、対応させていただきます。
http://mhs.or.jp/report/docs/research%20reports%20from%20the%20MOA%20health%20science%20foundation%20Vol.16.pdf2014.03.10 / 研究ブログ
山岡 淳/一般財団法人MOA健康科学センター 顧問、文学博士
ストレスという語をこの世に広げたセリエ(seliye,H.)は、ストレスを定義付けるときに、「ひとに有害とみなされるストレッサーが加えられると特徴的な生理的な症状(汎適応症候群)が生ずる」と表現しました。そこでかれが「有害」という文字を使っているように、一般に、ストレスの素であるストレッサーは兎角「害」や「悪者」として取扱われます。
しかしその後になりセリエ自身も、ストレスにはその個人に受け入れ難い「不快なストレス」と、受け入れ易い「快適なストレス」と両者があると二分しました。確かにストレスには、悪玉なものが多いのは事実でありますが、善玉と見なされるようなストレスもあるのです。
私はストレス、とくに「善玉ストレス」についてかねがね、
① むしろ「善玉ストレス」は多く存在するし、大いに活用すべきである
② 適度のストレスは軽度の緊張を産み易いので、避けるのではなくむしろ歓迎すべきである
③ 「悪玉」を「善玉」と変容できるのは、その受け入れる側の「姿勢」次第である
という持論を持ってきました。
例えば、スポーツの練習と試合で、練習し始めには喜んで「やる気」あるのに、練習を積み重ねているうちに「もう止めたい」とか、「これ以上はできない」と弱音を吐き始めます。「そこを何とか乗り越えよう」とか、周りからの圧力で「死ぬほどの思いでやらされて」やっと試合をやり遂げられたという経験があると思います。そして勉強や仕事でも、「困難」や「頑張り」の後になって大きな喜びを感じさせられたことがあったでしょう。
善玉ストレスにすると
意欲高揚
このように、練習、勉強、仕事などの途中の「辛さ」が大きいほど「快」の感情を体験できます。さらに、辛い途中の過程にも、試合後の快を期待する「快適なストレス」も持って同時に進行することによって、「不快なストレス」を和らげることにもなります。
セリエの後、ストレスの研究者であるラザルス(Lazarusu,R.S.)たちは、生体と環境との間の相互関連性を重視するようになりました。健康科学センターでは、人間が本来備えている自然治癒力をさらに増進し強化するという自然順応型の健康法を重視しています。この自然治癒力でストレスを善玉にしていきましょう。
そのような観点から、ストレスについても自然環境と関連する具体例などについて研究をし、それらの成果を活用できるように努めています。